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健康で効率的な最低限度の生活

社内失業、ミニマリズム、スポーツ

「私を雇用するために助成金が出ているはずなんですよ。【復興の支援に携わる人間を雇用する】という条件で」社内失業しているFさんに話を聞いた

インタビュー 社内失業

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、地震と津波により多くの人命を奪い、家屋や町を破壊した。安倍総理は「震災からの復興」を目標に掲げているが、問題は山積しており、まだまだ道のりは見えないでいる。
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今回、社内失業についてのメールインタビューに答えていただいたFさんは、20代後半の男性で、東北出身。震災後「復興に関わりたい」とボランティアコーディネーターとして採用されたが、現在は社内失業に陥ってしまったという。話を聞いてみよう。

Q Fさんのプロフィールを教えてください

これまで教員や介護士の職を経験しましたが、震災後は某市の社会福祉協議会(※1)で働いています。
社会福祉協議会というのは、ひとことで言えば、行政から福祉関連の事業を委託されている民間の団体です。法人で特別養護老人ホームやヘルパーステーションなんかも経営していて、全てを合わせると職員は100人以上います。
他にも共同募金の事務局も兼ねていたりします。災害時はボランティアセンターもとして機能することもあります。

Q 今の職場に入局することになった経緯を教えてください

もともと、東日本大震災以降、災害ボランティアをやっていたんです。被災地での瓦礫やヘドロの除去、炊き出し、仮設住宅の集会所の常駐スタッフ等、色々とやりました。たまたま今の職場が、復興支援のためのボランティアコーディネーター(※2)を募集していたのを知り、やりたいことと仕事が合致すると思って、採用試験を受けたんです。面接の時は「復興支援をメインに、通常業務も手伝ってもらうこともある」と伝えられ納得し、嘱託職員として入局しました。

(※1)社会福祉協議会とは
(※2)ボランティアコーディネーターとは

直属の上司は、人当たりは良いです。ただし、仕事面ではあまりきめ細かいことは苦手なようで、大雑把。今まで部下も持ったことがないみたいですね。上司は、私にほとんど仕事がない状態だということを、おそらく知らないと思います。

Q それは何故なんでしょうか

極めて人間関係がドライだからです。私の場合だけでなく、職場全体で情報の共有がなされてないので、誰がどんな仕事をしてるのかお互いに分からないんですよ。プライベートな事柄はともかく、業務上必要な情報共有もされません。例えば、ある日突然職場に来なくなった職員さんがいて、「どうしたんだろう」と思っていたんですが、後から知ったところによると、彼は定年退職していたらしいんですよね。だけど、そのことを誰も知らされていなかったし、知らなかった……。

まあ、きっとボランティアの現場に出れば、それこそ個性豊かな職員も中にはいるとは思うんですが、今身をおいてる職場は、基本的にはこういう感じですね。雰囲気も、誰も言葉を発さず、ただキーボード音だけがしてる。息の詰まる職場だと思いますよ。

Q なぜご自身が社内失業してしまったと思いますか

それは私自身が一番聞きたいですよ(笑) 「ボランティアコーディネーター」として採用されたわけですから、被災地の現場で仕事をできるものだと思っていたのに、最初から今まで、ずっと事務所で禁錮状態ですから。

仕事の内容も、ほとんどが事務作業です。会議の資料を作ったり、資料の棒読みだけで終わるような会議に出てみたり。雑務もありますが、ボランティアコーディネーターの仕事とは無関係。復興支援に関係するような仕事は、全体の1割あるかないかですよ。しかもほとんどの業務が短時間で終わるようなものなので、勤務時間の半分以上は社内失業してます。
私が今の職場に来た理由は、社内でぼーっとするためでも、事務員をやるためでもないんですけどね。悔しいです。

Q 将来の展望について教えてください

私を雇用するために、県から助成金が出ているはずなんですよ。「復興の支援に携わる人間を雇用する」という条件で。今のような状況が続くと、以後はその助成が出なくなる可能性も高いです。将来の展望はまったく暗いですね。
退職後に他のルートを考えるなら、今勉強中の資格に合格出来ればそれに関する仕事もしたいですし、以前勤めてた会社に戻れそうなら再び仲間入りさせてもらうこともあるかもしれない。あとはNPOか何かで福祉をやるかですね。ただし、どれもうまくいく保証はないので心配は尽きないです。

復興への意欲も高い彼が、職場で飼い殺しとなり放置され、社内失業する……。震災からの復興がなかなか進まない原因のひとつが、ここにあるように思える。あなたはどう思いましたか?

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写真提供:
東日本大震災 写真保存プロジェクト