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健康で効率的な最低限度の生活

社内失業、ミニマリズム、スポーツ

「おはようの挨拶よりも、『死ね』と言われる方が多かったですね」某金融機関を辞めたWさんに話を聞いた

Wさん(20代男性)は新卒で某地方銀行に入行したが、4年目に体調を崩した。「うつ」と診断され、2年間の休職を経て退職。現在は都内の某企業で事務職として働いている。
なぜ、Wさんはうつを患い、長期間の休職を余儀無くされてしまったのか。
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「同僚で、上司から跳び蹴りをくらった人もいましたからね。私自身も、上司から胸ぐらを捕まれて殴られたことがある。銀行業界って、すごく体育会系な気質なんですよ。でも、入るまでは分からなかった。もし私の経験が誰かの役に立てればと思って、今回のインタビューを受けようと思ったんです」

Wさ んの話を詳しく聞いていこう。
「入行1年目は、ジョブローテーションと言いまして、行内の様々な部署に配属されます。内勤もやりました。同期は60人ぐらい。この人数は、地元の企業の中では多いほうだと思う。
銀行の業務って、大きく3つに分けられるんですね。窓口を担当する「預金係」、返済が焦げ付いた場合に返済の交渉をする「融資係」、そして個人、法人に対して「お金を借りてくれませんか」と交渉する「営業」。2年目から本格的に配属が決まって、私は営業に配属されました」

営業に配属されたWさんの上司は、30代前半。「おはようの挨拶よりも、『死ね』と言われる方が多かったですね」という超パワハラ上司。周囲からは「部下クラッシャー」と呼ばれていたという。
「若くして管理職に抜擢された人ですから、優秀だったのは確かですね。でもよく怒鳴っていました。丸1日怒鳴られなかったら、『今日は珍しく怒鳴られなかったな。ラッキーだったな』というぐらい。怒鳴る理由は、営業成績のことはもちろんなんですけど、服装の着こなしがおかしいとか、書類の書き方や表現がおかしいとか、そういう些細なことも多かったですね……。
ちなみにその人は、飲み会に出ると女子社員のお尻を触ったり、抱きついたりよくしてました。『俺はコンプライアンスとか関係ないから』ってよく言ってました」

パワハラ・セクハラ当たり前! まだ30代前半と若い割に、なんと古い考え方の上司だろう……。Wさんのことを、「そんな人の部下になってしまうなんて不運だ な」と思われたかもしれない。しかし、実態はさらにひどいものだった。なんと、Wさんが就職した銀行全体が、パワハラ当たり前の古い体質だったのである。

「うちの銀行の窓口に来たお客さんから、『お宅の銀行は行員の怒鳴り声がうるさい』と苦情があったことがあったんですよ(笑)基本的には「つめる」(※上司が部下に対して、営業成績などを理由として厳しく叱ること)文化ですから。オフィスでよく上役が怒鳴っていました。金庫室に閉じこめられた人もいるそうです」

オフィスでよく人が怒鳴り散らしている……かなり問題のある職場のように思える。ただ、それだけでなく体罰も横行していたそうだ。

「実際、怒鳴るだけの人はまだ優しいほうなんですよ。会社に更衣室があるん ですが、着替えている同僚の肩が、アザで真っ赤だったことがあったんです。どうしたか聞いたら『上司から期待されてる証拠だよ』と。ポジティブだなーと思いましたよ。(増田→見えないところを殴るんですね)そう、営業だからか、顔は殴らない。昔のドラマの金八先生の有名なセリフで、『顔はまずいよ、ボディにしときな』というのがあったけど、それを地で行く感じですね。陰湿ですよね。つまり、殴るほうも、悪いことしてる意識はあるんだと思う。
2つ下の後輩で、警視庁に転職した奴がいるんですが、『柔道とか剣道とかやってるけど、警察のほうがぜんぜん痛くないし楽だ』と言ってました(笑)たしかに、私も転職したすぐの時は、『あれ、失敗しても怒鳴られないな。不思議だな』って思 いましたし、転職した同僚たちも同じようなことをよく言ってますよ」

職場自体が、いまどき珍しいぐらいのパワハラ体質だったわけだ。それにしても、なぜこの職場は、このような異常な状況に陥ってしまったのだろうか。Wさんは、「銀行業界の仕組みに原因があるのでは」と分析する。

「銀行って、普通の企業と比べてもけっこう特殊でして、上下のヒエラルキーがかなりしっかりしてるんですよ。役職が上だったら神様扱いしなきゃいけない。支店で言えば、支店長が絶対的な権限を持ってる。支店長に「こいつ嫌いだ」って思われたら出世できない。将来が決まっちゃう。だから行内で、上役相手にゴルフの接待をしたりするんですよね。言わば、「ごますり力」がとても大切なわけですが。
そういう組織の中で、管理職たちもにとっても、予算をどうしても達成しなければいけないという「プレッシャーの連鎖」があったんじゃないか。課長は次長からプレッシャーをかけられて、次長は支店長から言われて、支店長は、さらにその上の人から言われて……(増田→柔道の体罰問題と同じ構造ですよね)まさに一緒だと思いました」

もちろん銀行業界全体がこのような古いパワハラ体質だとは言わないが、もしかしたら多くの銀行で似たようなことが起きているのではないだろうか。
Wさんの体調は、入社3年目から崩れ始める。朝、起きると吐き気がするようになってしまったのだ。

「就業時間は、8時半から17時までです。でも、朝7時には出社してましたね。理由ですか?先輩たちから『な んで俺より早く来ないんだ!』と怒鳴られるからです。
出社したらまずはオフィスの掃除を30分間ぐらいします。始業時間前から会議が入ってることも多かったですから、始業時間にはむしろ一仕事終えた感じがして、コーヒー飲んでることが多かったですね。(増田→定時には帰れたんですか?)いや、銀行も客商売ですから、お客さんに『23時に来て』と言われたら行かなきゃいけませんでしたね。
土日は休みでした。でも、試験勉強をしてました。銀行業務検定ってご存知ですか?(※参考リンク)銀行にいると、この検定にちゃんと合格しないと出世できないんですね。しかも法務とか財務とか、窓口とか信託とか、色々な種類の試験があるから1度の試験だけで終わりじゃないんですよ。土曜日、日曜 日は勉強して、試験して、という感じだと休日も潰れちゃうんですよね」

上司や先輩からは怒鳴られ、体罰を受けることもある。朝は早く、帰りは遅く、土日は試験勉強……これでは誰であっても体調を崩してしまうだろう。

「3年目には違う支店に異動になったんです。上司や先輩からも逃れて、心機一転で頑張ろうって思ってたんですが……結局、どこの支店も同じようなパワハラ体質だった。『もしかしたら一生このままなのかな……。もし偉くなれたとしても、今度は体罰やパワハラを強要する側になるのか』それで、トイレで吐くようになった。病院に行ったら、もはや働ける状態じゃないと』

4年目に始まった休職期間は、その後1年10ヶ月に及ぶことになる。しばらくは貯蓄と傷病手当金 (※日額給与の3分の2程度が健康保険から1年半支給される。詳しくはこちらのHPをご覧ください)で凌いだものの、貯金が底をつきそうになりギリギリの生活になってしまった。

「外側から見るといい会社なんですよね。地元の人に『辞めたよ』って言うと、『お給料も高いし、有名で良い会社なのになんで辞めたの?勿体無い』と今だに言われる。人気の企業でイメージも良いんですよね。私の親も、『我慢しなさい』と言ってた。自分が体調崩してから、やっとひどい状態だったことを理解してくれたんです」

Wさんは、結局銀行を辞め、今は体罰もパワハラもない会社に転職した。

「今の職場では、『こんなに楽にお金もらっていいのかな?』っていつも思います。怒鳴る人が誰もいない。びっ くりしました」

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