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社内失業、ミニマリズム、スポーツ

「人事部は『辞めろ』とは言わないんですよ。『どうする?どうする?』って聞いてくる」精密機器メーカーKさんに話を聞いた(後編)

インタビュー 社内失業


人事部から呼び出され、退職勧奨を受けたKさん。前編に引き続き、その後のお話を見てみよう。

「人事からは、『どう?決めてくれた?』なんて急かされるわけですけど、即答をせずに、『今日はどこまで話をするぞ』っていうのを、事前に決めておくんですね。それ以上は話をしない。その場で決めない。何か聞かれたり、何かを提案されたりしたら、すかさず『持ち帰らせてください』と言って次のテーブルを用意してもらう。そういうふうに、時間を稼いだんです」

Kさんは、そのように退職交渉を引き伸ばし、転職活動を進める一方で、第三者の意見を聞こうと社内の労働組合にも相談した。「でも『個人情報に関わる部分があるから、うちでは深く関われない』って言われて、対応を拒否された。(増田→それって全然組合としての意味をなしてないですね)いわゆる御用組合というやつで、一緒に戦うという感じではなかったんですよ」

そこでKさんは、弁護士に相談することにした。「自分ひとりで何も頼るものがないと不安だった。法律上、会社側が行っている行為が違法かどうか、ぐらいだけでも知りたかった」とKさんは語る。弁護士に相談する……というとかなりハードルが高いイメージがあるが、どうだったのだろう。

「30分で相談できる”法テラス”に相談にいったんです。これまでの経緯を相談したところ、『グレーゾーンですね』と言われた。どうして”黒”じゃないかというと、受けた被害が弱いらしいんです。それこそ蹴飛ばされたとか、殴られたとか、罵倒されたとかあれば別だけど。会社側も『辞めろ』とは一言も言ってない。『会社のやり口が卑怯だという気持ちはわかるが、弁護士が行っても動きづらいです。あと弁護士を雇うのにもお金がかかりますよ? 30〜50万円かかっても大丈夫ですか?』という感じだった。最初は釈然としませんでしたけどね」

弁護士との相談は、計3回。iPhoneで人事や上司との話し合いを録音し、その内容をA4の紙1枚でまとめて持っていったそうだ。料金は30分5千円だったが、10分で終わったこともあったという。「10分で終わったときは、俺の5千円返せよって思いました(笑)でも、お金を払った価値はありましたよ。法的な根拠が欲しかったんです。向こうは会社ぐるみだから、自分ひとりで相手するのは心細かったし、こちらの対応が正しいかどうかも分からなかったですから。
私の場合はiPhoneで録音をしましたが、資料を残さないと、弁護士にも相談できない。思い出話だけでは弁護士は信用してくれないんですよ。『辛いんです』では根拠にならない。
それに、『いま弁護士に相談してるんですよ』って人事に言ったら、びっくりされて態度変わりましたからね。しばらく人事からの連絡が無くなりました」

Kさんは、結局3ヶ月間交渉し、その間に転職先を確保することができた。そのまま退職し、現在は転職先の会社で仕事に従事している。

「退職勧奨って、自分の口から『辞めます』って言うと自主退職になってしまう。退職金の出方も変わってくる。むしろ解雇よりも怖いですよ。知識がないと、マイナスな所が多い」

Kさんの作戦は、前述したように「少しでも交渉を長引かせる。その間に転職活動をする」という所にあった。多くのサラリーマンたちが退職勧奨を受け、結果として退職に追い込まれている状況を見ると、その作戦はリスクを最小限に押さえるという意味でもとても良いものだと思う。
多くの会社員の方が、「退職勧奨って強制力が無いんでしょ?『辞めません!』って頑なに言ってれば済むんじゃないの?」と思ってるんじゃないだろうか。
しかし実際は、精神的なダメージも大きく、会社に居場所を無くして退職に追い込まれてしまうケースが多いのが実情だ。Kさんのように、退職を念頭に置きながらも会社と交渉し、転職に繋げて退職することが、本意ではないだろうが現実的な選択肢なのかもしれない。みなさんはどう思うだろう?

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