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健康で効率的な最低限度の生活

社内失業、ミニマリズム、スポーツ

外資系大手IT企業で退職勧奨に遭った会社員さんに話を聞いた

インタビュー 社内失業

Kさん(40代・男性)が会社からの退職勧奨に遭ったのは、2007年。外資系の大手IT企業で働いていた時のことだ。
「その外資企業には、営業として入社しました。高卒で最初に入社した某家電メーカーには15年くらい在籍したんですが、ひょんなことからうちの会社の採用があるよって話があって、受けたら受かったんですよ。実力主義で、高卒という学歴に対しても、うんぬん言う会社ではなかったですね」

「外資系」企業というと、みなさんどのようなイメージをお持ちだろう。外資(特にアメリカ)企業は、日本に比べると人材の流動性が高く、雇用者を解雇する頻度が高いイメージがないだろうか。実際の外資企業の内情、そして退職勧奨とはどんなものなのだろうか、Kさんに当時の経験を聞いた。

「会社内では『パフォーマンス不足の、下位10%の人は切られる』らしいとはよく言われてました。やっぱり外資なんで、日本企業と違って人材が流動してるよと。でも実際にバシバシ切ってる感じではなかったんですよね。あくまで日本の法人であるうちの会社が、そこまで厳しくやってたかというと、そうでもなかったのかな。
でも組合があるわけじゃないですからね。聞いた話だと、うちの会社がやってた◯◯◯事業部は、僕が入社した頃、立ち上げる前にかなりの数の社員を採用してたそうです。でもその事業は、ご存知の通りほとんど花が咲かなかったので、粛清があってすごい数の人間が事務所に集められて、その場でクビを宣告されたと聞きました。オフィスにも戻れず『机の中の荷物も後からに家に送る』と。でも、あくまで噂ですよ」

Kさんの会社は実力さえあれば学歴を問わなかったが、その代わりに結果を出さなければ、かなりドラスティックに解雇していたようだ。会社の「外」と「中」を隔てる垣根が低かった…と言えるかもしれない。このあたり、新卒時にしか入社チャンスがほとんど無く、成績が悪いからといって簡単に解雇にはならない日本の企業とは真逆の印象である。そして、垣根が低いのは「外」と「中」の間だけではなかったようだ。

「自部署の人材の空きを埋めるのも、マネージャーの仕事。なので積極的に社内でも、適任者を探すんですね。『うちの部署では、こういう人材を募集している』という情報が、会社の人しか見られないWEBに公開されてました。部署間でも人を流通させるのがあたりまえで、硬直化しないわけです。(増田→日本企業って、ちょっとした異動であってもかなり秘密裏に進められますもんね。流動性という点で、かなりのギャップを感じます)自分も前職はバリバリの日本企業からの転職だったので、カルチャーのギャップはすごく感じましたね」
とKさんは笑った。

そんなある日、Kさんは半年に1度の評価面談を受ける。そこで「2.5点」という評価を受けることになる。この「2.5点」とは何を意味するのか?詳しくご覧いただきたい。

「点数は1点から5点まであるんだけど、3点が平均。3.5点だと、出世する可能性がある。4点だと昇格。4.5点なんてのは、かなりいい。5点は見たことない。で、最低が2.5点なんですよ。それより下は、無いんです。2.5点が2回着くと、飛ばされる。(増田→平均からちょっとでも下がっちゃうと、もう駄目なんですね)自分の場合は4点がついて、昇給昇格させてもらって、翌年が3点、次が2.5点だった。上司や組織が変わったタイミングだった、というのもあったけど、上司からは『評価は決して高くない。2.5点を付けざるをえないね』と言われた。

2.5点が一回ついた後、『どうする?環境かえるか?』って言われて、異動になったんです。マネージャーも変わった。厳しい人でした。マネージャーも部下をコーチングする責任があるので、月一回、ふたりのミーティングを常にやって、スケジュールを見られて、改善点を言われて……。”理詰め”ですよね。でも、評価が低くなってからの異動だったけど、日本の企業みたいにほったらかしにされるようなことはなかったですね。(増田→そうなんですよね…日本だと、私もインタビューした限りでは、そこで放ったらかしにされてさらに評価を下げられることもあるようです)

それでも改善が見られないということで、『このままだと組織としては、あなたを必要としないという判断をせざるをえないね』と言われました。『他社に活路を見出すも、別部署へのリクルーティングに応募するも、君次第だよ』と、真正面に、こういう風に言われ始めるのが、辞める1,2ヶ月前だったかな。

6月末に人事異動があって、営業職から外されて、フリーアドレスの部署に異動させられてからは、営業先のお客さんは全部引き継いだし、新しい仕事があるわけじゃないので、社内失業ですよ。今思うと、転職までの猶予期間もらえたようなものでしたね。『何ヶ月』って表現はされなかったけど、その部署にいるのは2,3ヶ月が限度だったのかな」

Kさんのお話を聞いてると、外資系企業の対応は、ドライと言えばドライだ。しかし、退職勧奨をする前に異動をさせたり、マネージャーからのコーチングもある。心の準備期間、実質の転職猶予期間もあるので、変な言い方に聞こえるかもしれないが、厳しいようでいて実は「優しい」のではないか。いつのまにか追い詰められ、秘密裏に辞めさせられる日本の企業の方がよほどつらいと思う。もちろん、企業の社風にも寄るだろうが。
「運良く、社内でも異動先が見つかったんだけど、タイミングが良いのか悪いのか、外の企業からもOKもらったんですよね。それで、じゃあ外行くかと」
あなたはどう思いますか?

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